呼び水が抜ける、運転してもすぐ止まる症状は、多くが「吸い込み側のエア噛み/エア漏れ」と「制御まわりの短サイクル」が原因。診断は①安全確保(ブレーカーOFF・減圧)→②正しい再呼び水→③吸い込み系の気密確認→④制御・タンク確認の順で行うと早い。まず基本動作の確認。呼び水は満水になるまで注ぎ、呼び水栓のパッキン・Oリングを点検。吐出側のバルブを少し開け、内部の空気を抜きながら始動する。直後に「ガボガボ音/圧が上がらない/泡混じり」が続くなら吸い込みエアの可能性が高い。よくある原因は次のとおり。①フート弁(井戸内の逆止弁)の不良:砂噛み・パッキン硬化で逆止できず、水柱が落ちて翌朝に呼び水が空になる。→井戸から引き上げて分解清掃、座面研磨か交換。吸込口は井戸底から30〜50cm離し、水面下に十分沈める。②吸い込み配管の微小漏れ:継手のシール不足、ホースバンド緩み、ピンホール割れ。→怪しい継手を外して面取り→シールテープ正巻き+シール剤で再組立、金属ねじは規定トルクで。③呼び水栓・点検プラグのOリング劣化:ここから空気を吸い込む。→Oリング交換/座面清掃。④吸上げ条件が限界:静水位が深い、配管が長い・細い、配管途中の高い山でエア溜まり。→できるだけ「短く・太く・緩やかな上り勾配」に変更、不要な立ち上げをなくす。⑤ストレーナー詰まり:砂・泥で吸込抵抗が大きく、負圧が増えて漏気を誘発。→清掃し、目開きと設置高さを見直す。⑥井戸水位低下・渦吸い込み:水面が下がり吸込口が浅い。→吸込口を深くし、渦防止のスカート(遮蔽板)を追加。⑦深井戸ジェット(二本配管)の漏気:送水側・戻り側の継手緩み、ノズル詰まり。→配管再シール、ジェット/ベンチュリ清掃。エアの有無は診断器具を使うと確実。呼び水栓に真空計を仮設し、停止状態で手押しポンプ等で負圧を掛けて保持試験(例:−50kPaを数分保持)。保持できなければ吸い込み系の漏れ、保持できるのに運転で泡が出るなら井戸側条件や渦が疑わしい。配管全部を触る前に、ポンプ近くに“仮の透明吸込ホース”(短・太)を直結して試運転すると、井戸側かポンプ側かの切り分けが早い。すぐ止まる(短時間でON/OFFを繰り返す)場合は制御系も確認。①圧力タンクのエア不足・隔膜不良:水量のバッファが効かず短サイクルに。→電源OFF・圧抜き後、エアバルブでタンクの事前圧を測定し、圧力スイッチのカットイン圧より少し低めに再充填。隔膜破れなら交換。②圧力スイッチの設定ズレ・接点焼け:カットイン/カットアウト差(ヒステリシス)が狭いと頻繁停止。→接点清掃・微調整、異常なら交換。③空運転保護・過熱保護で停止:エア噛みが残って流量ゼロ→過熱→停止のループ。→吸い込みの漏気を先に解消。修理の勘どころは「水を満たす・空気を入れない・逆止で保持」の三点。実作業では、(1)停電・減圧を徹底、(2)呼び水系のパッキン・Oリングを全交換、(3)吸込配管は怪しい継手を部分ではなく“区間単位”でやり替え、(4)ねじ継手はシールテープを適量(目安6〜8巻)+液状シールの併用、(5)再組立後に真空保持試験、(6)試運転は吐出少開で徐々にエア抜き、の順序で仕上げると再発が少ない。NGは、深井戸での単独揚降作業、逆止弁の落下防止なし作業、過大圧での加圧試験、シールテープの逆巻き・過巻き、濡れ配管への塗布不良。浅井戸・深井戸で点検要領は異なるが、吸い込み側の密閉と逆止の健全性を確保すれば、呼び水抜けや短時間停止の多くは現場で解消できる。再発する場合は水位変動が大きい井戸や配管経路の根本見直し(径拡大・高所回避・水中ポンプ化)を検討する。なお緊急で専門業者を探す際は「井戸ポンプ修理 寝屋川市」で近隣拠点・夜間対応・出動目安を確認し、到着前に現場写真と症状ログを用意しておくと復旧までが速い。